耳の病気
外耳炎(がいじえん)
強い耳の痛みが起こります。耳だれは、透明、黄色など様々で、細菌や真菌(カビ)で起こります。内服や塗り薬で治療していきますが、症状が強い場合や原因が真菌の場合、毎日もしくは一日おきに耳の消毒をします。
耳垢栓塞(じこうせんそく)
耳垢がつまってしまって取れない状態です。耳づまり感、難聴や耳鳴りが起こることもあります。一度で耳垢を取り除けない場合は、点耳薬で耳垢を柔らかくしてから取るため2、3回の受診が必要になることもあります。
慢性中耳炎(まんせいちゅうじえん)
風邪をひいたとき、耳に水が入った時などに耳だれを繰り返します。鼓膜に穴が開いたままになっており、症状が強い場合は内服薬の治療を行います。
真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)
周囲の骨を壊しながら進行します。悪化すると、めまいや顔面神経麻痺、まれに髄膜炎を起こすことがあります。大学病院などでの治療が必要になります。
耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)
耳管機能低下症(じかんきのうていかしょう)
耳管は普段閉じていて、あくびをした時などに開きます。すると中耳と鼻の奥の気圧のバランスが良くなります。鼻風邪や中耳炎などで耳管が閉じたままになり、耳づまり感が起こります。鼓膜の動きを調べる検査を行えば診断でき、鼻の奥に管を入れて耳管に空気を通す耳管通気という治療を行います。
耳鳴症(じめいしょう)
耳鳴の原因はまだよくわかっていません。睡眠不足、水分不足、首の痛みやコリなどで耳鳴は大きくなることが分かっています。周りで音がしないのに、「キーン」「ザー」「ピー」などの音がしているように聞こえます。治療は内服や生活習慣の改善などで、内服は代謝改善薬や漢方薬、また首の痛みやコリに対する塗り薬などがあります。
難聴(なんちょう)
耳が聞こえにくくなることです。伝音難聴、感音難聴、突発性難聴などがあります。
- ・伝音難聴(でんおんなんちょう)
- 外耳や中耳の異常で起こります。「大きい音でないと聞こえづらい」というのが特徴で、中耳炎で起ることが多いですが、鼓膜の奥にある耳小骨の奇形で起こることもあります。耳づまりを感じることがあり、聴力検査で診断します。内服療法が主ですが、手術をすることもあります。治療で改善が見られない場合補聴器を使用することもあります。
- ・感音難聴(かんおんなんちょう)
- 内耳、聴神経の異常で起こり、加齢、大きな音、聴神経の腫瘍など、様々な原因で起こります。「大きな音しか聞こえない」だけでなく「聞き違える」ようになったりします。聴力検査を行い、難聴の程度によっては補聴器の使用をお勧めしています。
- ・突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)
- あるとき突然耳が聞こえなくなる病気です。原因はいまだはっきりわかっていません。耳鳴や耳づまり感が同時に起こることが多く、めまいや吐き気を生じることもあります。聴力検査やめまい検査が必要で、ステロイドや代謝改善薬などの治療を行います。しかし残念ながら、治療しても改善しない人もいます。
めまい
- ・良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)
- 耳石が半規管に入ってしまってめまいが起こります。寝起きの動作や寝返り時に、30秒以内の回転感が起こります。最も自然に治りやすいめまいです。
- ・耳性めまい(じせいめまい)
- 内耳の循環障害で起こり、フワフワする感じや、グルグル回る感じがします。睡眠不足や水分不足で起こり、漢方薬で改善することが多いです。
- ・メニエール病
- 耳づまり感や耳鳴の後に、グルグル回る感じのめまいが起こります。めまいは30分以上続き、繰り返し起こるという特徴があります。睡眠不足、水分不足で起こりやすくなります。
めまい止めの内服や漢方薬だけでなく、生活習慣の改善も大切です。
- ・その他のめまい疾患について
- めまいに関しては耳鼻科の診療範囲でない聴神経腫瘍、脳腫瘍、脳梗塞、椎骨脳底動脈循環不全や頸性めまい、脱水症、貧血、低血圧症など疾患は数多く様々です。手足のマヒ、頭痛、意識がぼんやりする、物が二重に見える、ろれつが回らないといった症状が同時に起こる場合は、脳梗塞などが疑われますので、脳神経外科の受診をお勧めします。